100年後の世界

SF映画から考える100年後のテクノロジーと社会の未来

著者は鈴木貴之氏。哲学者だそうです。

副題のとおり、各章の冒頭に少し懐かしいものも含めてSF映画が紹介され、そこに出てくるテクノロジーをもとに今後どのように科学が進歩するか、その扱いはどうすべきかを問うことで終わっている。哲学者の書かれた本なので、倫理的、合理的、さまざまな理由からテクノロジーの進化の方向や扱い方を「考えさせる」内容になっている。

「ガタカ」が紹介されている章があったので、つい買ってしまったのだけど、どの章も「結論」はないので、もやもやしたまま終わる感じではある。そのテクノロジーに関する他の書籍もやまのように紹介されているのは面白いんだけど、こういう本って、発行された時点ですでに技術の陳腐化、進化が進んでしまっているから辛いなぁ。ずーっと手元に置いておく本ではないな、と思った。

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影の子

デイヴィッド・ヤング

原題はStasi Child、シュダージのこども。1970年代、女性刑事がシュタージと異例の合同捜査を行い、惨殺された少女の身元と犯人を捜す、というあらすじ。東ベルリンが舞台とあって、その昔ベルリンの壁の上を歩いたことのある私としては見逃せず読んでみた。フィクションだけれど、実際にあったことをヒントに描かれていることもあるそうで、まぁシュタージの支配する世の中の辛さ、気味悪さはよく再現されていると思う。だからあんまり読後感はよくない。なにせ東ドイツはこの物語のあとまだ10年以上も壁を守ったわけだから。

残念ながら、主人公の女性刑事にあんまり感情移入できなかった。シリーズ化されて、すでにあと2冊出ているようなんだけど、翻訳が出ても買わないかなぁ。

ヌヌ 完璧なベビーシッター

気になる本。というのも、日経の書評の冒頭にルース・レンデル「ロウフィールド館の惨劇」からの引用があったから。

ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである

レイラ・スリマニのこの本も、こんな一文から始まるとある。

赤ん坊は死んだ。ほんの数秒で事足りた。

ゴンクール賞を獲得したというこの本、レンデルに比されるなら読んでみたい。

…で、読んでみました。(2018年6月17日追記)


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Jesus Jones – Passages

20 April 2018

Jesus Jonesのアルバム、Passagesがついにリリース。Amazonでも輸入盤とUnlimitedでの取り扱いがあるし、iTunesでは1500円で購入可能。私はPledgeで購入済みのはずなんだけど、いつ届くのかなぁ。とりあえずiTunesで全曲プレビューしておく。

ソロ

ラーナー・ダスグプタ著

前半は、ブルガリアのソフィアに住む盲目の老人ウルリッヒが自分の人生を振り返る。90歳を超える人生で、化学に魅せられながら夢破れることの多かった彼が見ていた白昼夢が後半。前半の現実の人生の、なんでそこで諦めてしまうんだろうと言いたくなるくらいじれったいところは、実は「ほんとうの暮らしなんてそんなもの」と思わせる。一方で、白昼夢の物語がいかにも「夢うつつ」みたいな語りからどんどんリアルなものに変わっていく様子が、次第に夢に支配されていく盲目の老人の頭の中を本当に覗いているみたいな気分になる。漫画を描いていたころ、仕事の合間や通勤時間などにずーっと物語の展開を考えていたけれど、なんだかそのときを思い出す。だんだん物語やキャラクターが一人歩きしていくときがある。それがリアルな夢になったり、起きたときにどんどん忘れてしまってイライラしたり。

「東京へ飛ばない夜」という前作も読みたいけど、翻訳版はもう中古でしか手に入らないみたい。最近の翻訳小説の世界はこういうの多いな。出会ったときが買い時、読み時。あとで知った作家さんだと過去の本がもう手に入らない。

ノーラ・ウェブスター

コルム・トビーン

夫に先立たれた46歳の主婦、ノーラ・ウェブスター。以前はミステリかSFばかり読んでいたけれど、最近はこういう、一見なにも起こらない日常の中のきめこまやかな心情の移り変わりを描いたような小説がとても面白く感じる。著者の自伝的小説、とはいえ、母にあたる女性の想いの描き方が素晴らしい。ちょっとしたことにイライラや不愉快を覚えたり、ほっとしたり、というノーラの心にいつのまにか引き込まれていく感じ。

バイプレイヤーズ

もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら

シーズン1を年末年始の再放送で観てから楽しみにしていた「バイプレイヤーズ」シーズン2。まだ放映中だった2月21日に大杉漣さんの突然の訃報が報じられて、あまりにもびっくりしてなんだか思考停止してしまいました。

最終回を観ていて、途中で涙腺崩壊。有休の午前中から号泣。66歳、本当にまだお若い。最終回の放映には、実はメイキングの映像、素の大杉漣さんの顔もたくさん混じっていたんだろうな。シーズン2の海から出てくるオープニングの撮影シーンを最後に持ってくる構成は最初から決まっていたのかもしれないけれど、本当にかっこよかった。

錚々たる名脇役が実名で出るというこの贅沢なドラマ。名脇役は他にもたくさんいるけれど、この面子だったからこそ、という気もします。

大杉漣さんのご冥福をお祈りします。