手塚治虫小説集成

絵が浮かぶ


読み始めたらあっというまでした。私が生まれる前の作品もあったりするので、科学的な背景とか、表現などに部分的に古さはあるかもしれないけれど、面白かったです。手塚氏の絵が自然と浮かんでくる作品の数々。

差別と迫害

私は手塚治虫作品の中では「ブラック・ジャック」や「アドルフに告ぐ」が特に好きなのだけど、それ以外の作品においても差別や迫害、階級といったものによく触れられていたなぁ、と思います。この小説集でも、地底の蟻人族との戦いや空を飛べる「羽」を持つ種族のパワーを手に入れようとあたふたする人間たちの「わかりやすい階級」が敷かれた世界などが登場します。

昆虫とか人間以外の種族を描くのはテキストでもさすが、本当に手塚さんの絵で浮かんでくるようです。しかしまぁ、最後の「白い胞子」は怖かったー。表現がすごすぎて。臭いもまざまざと浮かんできそうですもん。

2月9日は手塚治氏の命日だったんですよね。1989年、享年60歳、早すぎる死。今読んでも面白い作品ばかりだけれど、やっぱり「読んだことのない作品」を読めるのは、漫画でも小説でも関係なく幸せです。

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