ヌヌ 完璧なベビーシッター

気になる本。というのも、日経の書評の冒頭にルース・レンデル「ロウフィールド館の惨劇」からの引用があったから。

ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである

レイラ・スリマニのこの本も、こんな一文から始まるとある。

赤ん坊は死んだ。ほんの数秒で事足りた。

ゴンクール賞を獲得したというこの本、レンデルに比されるなら読んでみたい。

…で、読んでみました。(2018年6月17日追記)


若い共働き夫婦がキャリアを追求するために慎重に選んだベビーシッター、フランス語の幼児言葉ではヌヌ。そんな彼女が、面倒を見ていたふたりの幼児を殺すところから始まる物語。若い夫婦より年上ながら、人形のようにか細く、存在感という意味でも薄いヌヌ、ルイーズ。夫婦はバカンスにまで一緒に連れていくほど、その完璧ぶりに感謝してはいたけれど、雇い主と使用人の壁を取り去ることはなかった。一方でルイーズは夫も娘も失い、友人と呼べるほど親しい者もなく、自分の居場所はベビーシッターとしての働き場所しかない。

次第に夫婦から疎まれつつあることを感じたからなのか、ルイーズが夫婦にもうひとり赤ちゃんが生まれればふたりは再び自分を必要とするだろう、赤ちゃんが生まれるにはすでにいる子供達が邪魔だ、と思い始める。

ルイーズの考えは伝わってくるけれど、理解できない恐ろしさ。子供達の世話も家事も完璧なのに、そこに愛情は感じられず、結局は自分のことで精一杯、自分と自分の居場所を守ることしか考えていない人間。闇を覗き込む感じの小説でした。

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