帰ってきたヒトラー

アドルフ・ヒトラーがなぜか記憶も見かけも衣類もそのままに現代にあらわれ、お笑い芸人として人気を博す、という風刺小説を映画化。シネフィルWOWOWで鑑賞。

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影の子

デイヴィッド・ヤング

原題はStasi Child、シュダージのこども。1970年代、女性刑事がシュタージと異例の合同捜査を行い、惨殺された少女の身元と犯人を捜す、というあらすじ。東ベルリンが舞台とあって、その昔ベルリンの壁の上を歩いたことのある私としては見逃せず読んでみた。フィクションだけれど、実際にあったことをヒントに描かれていることもあるそうで、まぁシュタージの支配する世の中の辛さ、気味悪さはよく再現されていると思う。だからあんまり読後感はよくない。なにせ東ドイツはこの物語のあとまだ10年以上も壁を守ったわけだから。

残念ながら、主人公の女性刑事にあんまり感情移入できなかった。シリーズ化されて、すでにあと2冊出ているようなんだけど、翻訳が出ても買わないかなぁ。

ヌヌ 完璧なベビーシッター

気になる本。というのも、日経の書評の冒頭にルース・レンデル「ロウフィールド館の惨劇」からの引用があったから。

ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである

レイラ・スリマニのこの本も、こんな一文から始まるとある。

赤ん坊は死んだ。ほんの数秒で事足りた。

ゴンクール賞を獲得したというこの本、レンデルに比されるなら読んでみたい。

…で、読んでみました。(2018年6月17日追記)


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ソロ

ラーナー・ダスグプタ著

前半は、ブルガリアのソフィアに住む盲目の老人ウルリッヒが自分の人生を振り返る。90歳を超える人生で、化学に魅せられながら夢破れることの多かった彼が見ていた白昼夢が後半。前半の現実の人生の、なんでそこで諦めてしまうんだろうと言いたくなるくらいじれったいところは、実は「ほんとうの暮らしなんてそんなもの」と思わせる。一方で、白昼夢の物語がいかにも「夢うつつ」みたいな語りからどんどんリアルなものに変わっていく様子が、次第に夢に支配されていく盲目の老人の頭の中を本当に覗いているみたいな気分になる。漫画を描いていたころ、仕事の合間や通勤時間などにずーっと物語の展開を考えていたけれど、なんだかそのときを思い出す。だんだん物語やキャラクターが一人歩きしていくときがある。それがリアルな夢になったり、起きたときにどんどん忘れてしまってイライラしたり。

「東京へ飛ばない夜」という前作も読みたいけど、翻訳版はもう中古でしか手に入らないみたい。最近の翻訳小説の世界はこういうの多いな。出会ったときが買い時、読み時。あとで知った作家さんだと過去の本がもう手に入らない。

ノーラ・ウェブスター

コルム・トビーン

夫に先立たれた46歳の主婦、ノーラ・ウェブスター。以前はミステリかSFばかり読んでいたけれど、最近はこういう、一見なにも起こらない日常の中のきめこまやかな心情の移り変わりを描いたような小説がとても面白く感じる。著者の自伝的小説、とはいえ、母にあたる女性の想いの描き方が素晴らしい。ちょっとしたことにイライラや不愉快を覚えたり、ほっとしたり、というノーラの心にいつのまにか引き込まれていく感じ。

L.A.Math

探偵フレディの数学事件ファイル by ジェイムズ・D・スタイン

私は数学が苦手でコンプレックスがあるもので、数学がわかりやすい、とかいう本にはつい飛びついてしまいます。数学苦手なのに高校の時は3年間担任の先生が数学の先生だった。笑

装丁からもわかるように、軽いつくりの数学ミステリです。気軽に読めて、探偵フレディとあるけれど本当の意味で事件を解決しているのは相棒役のピート、というワンパターンの展開も、軽いからこそ気にならない。笑

後ろから読むと、各章で使われた数学知識の解説があり、なんか懐かしい数式や記号が…。完全に、とまではいかないけれどなんとかついていけるレベル。たまにはこういう軽いノリの本もいいかもしれません。

[R.I.P.] 葉室麟氏死去

2017年12月23日、葉室麟氏死去。最近の作品は追いつかなくて読んでないものが多いけれど、一時期すごい勢いで買い込んで読んだ葉室作品。私は歴史上の人物より登場人物自体も虚構の作品の方が好みだった。ご冥福をお祈りします。